« Skypeケータイ、携帯電話ネットワークへ | メイン | KDDIがモバイルWiMAX実用化に目処 »
2006年02月16日
ソニー、“640万画素×60コマ/秒”撮影可能な超絶のCMOSセンサー発表。
ソニーのすごさと同時に弱点が、まさにこうしたデバイス開発力なんですね。
ソニーがISSCC 2006で発表したCMOSセンサは,ものすごい撮像素子である。640万画素の画像を,毎秒60枚撮影できる。HDTVのいわゆる1080pの4倍弱に匹敵する情報量の動画を撮れるばかりか,撮影した一コマ一コマを写真として切り出せる。同じ撮像素子で5行に1行の画素だけ読み出すようにすれば,毎秒300回の撮影が可能だ。
その気になれば、なんでも作れてしまう。なんでも、というのはちょっと言葉が過ぎますが、少なくとも現時点で同業他社を一歩か二歩しのぐものができてしまうんですね。
ところが、作ってしまえばソニー社内でも“使わないといけない”。そうすると今度は逆に、その開発投資を回収する、という命題に縛られ、足かせにすらなるわけです。
その最悪の例が、MD(Mini Disc)ですね。
この記事中にも、
筆者は,既存事業に捕らわれすぎたことが,携帯型音楽プレーヤでソニーがいまだに米Apple Computer, Inc.の後塵を拝する理由の1つと信じている。MDでの成功にこだわり過ぎた結果,新たな市場で出遅れたという見方だ。今でも思い出すのは,Apple社が「iPod mini」を発売して間もない2004年3月に,展示会「CeBIT 2004」でソニーが開いた発表会である。iPodに対抗する製品として同社が披露したのは,容量1Gバイトの「Hi-MD」規格を採用したMDプレーヤだった(Tech-On!関連記事)。あのときの失望感は今も心に残っている。ソニーがその気になっていれば,iPodと同様な製品をずっと早く投入することができたはずである。
と書かれているとおりです。
また2001年2月、当時の会長兼CEOだった出井伸之氏が次のように語ったといいます。
「ソニーは半導体や部品も手掛けるが,基本的にはアプリケーション・レイヤの会社である。要するに一般ユーザーが使うものを作っていく。ソニーの半導体事業は,アプリケーションを差異化するためにコアになるキーデバイスを作るために存在する。−−中略−−半導体は,汎用品ではなくて,最終製品の性能を決めるインテリジェンスそのものになる。この最終製品(セット)と半導体の組み合わせをいかに組織的に手掛けるかがエレクトロニクス・メーカー成功のカギになる」(「(ソニー出井氏が描く日本復活に向けたシナリオ)」,『日経エレクトロニクス』,2001年5月7日号,no.795,pp.145-154)。
Play Station なんかはまさにこれがうまく行った例でしょうね。ソニーはゲーム機器メーカーでもなんでもなかったわけですが、自分たちが理想とする仕様を決めて、それに必要なデバイスが世の中にないとあれば、それをすべて作ってしまった。
結果、いまのようなゲーム機市場における大成功をもたらせたわけです。
Play Station の次世代機に採用する Cell なんていうプロセッサもまさに“最終製品の性能を決めるインテリジェンス”ですね。
松下電器もかつてゲーム機に参入しましたが、こちらは他社が作った規格に乗っかっただけのはっきり言えば“うまい汁を吸おうとした”戦略だったわけで、見事に失敗して撤退を余儀なくされました。
これらのことも含めてこの記事に関してはおっしゃる通り一々ごもっともなのですが、それだと提灯記事ならぬ“提灯エントリ”になってしまうのでひとつ追加してソニーに苦言を呈しておきます。
一度どこかで書いたことあるんですけどね。
それは、他者(社)とやりとりするところ・モノに勝手に独自規格を立ち上げるな、っていう至極あたりまえのことです。
この元記事に取り上げられた撮像素子(CMOS、CCDセンサーとか)や映像を映し出す方のデバイス(液晶、SXRDとか)に関して、独自の先進的なデバイスを開発し、製品開発に活かすのは一向に構わないわけです。
というか、まさにそれが他社とはひと味違った製品づくりのキモになるわけで。
しかし、いまだにデジタルカメラをはじめとした機器の外部記憶装置として、Memory Stick なんていうほかの同種のもの(SD カードなど)とどういう差異、明らかなメリットがないモノを開発し、採用し続けています。
他社への働きかけもあったのかもしれませんが、結局一部のカーナビ用(パイオニア、アルパインなど)に使われている程度で、デジカメのメディアとしては完全にコンパクトフラッシュかSDカードが主流となってしまいました。
僕は同社の DSC-F828 というデジカメを愛用していて、その良さをこのブログでも何度か書いています。でも、このカメラに関しては、たとえそういう良さがあっても、外部記憶メディアとしてコンパクトフラッシュをサポートしていなければ、買うのをためらったでしょう。
そう、この機種は Memory Stick スロットもついていますが、僕の知る限り初めてコンパクトフラッシュも使えるソニーのデジカメなのです。
こういうユーザー間でやり取りをするものについて、ヘンに独自規格にこだわるのが一番困るわけです。
先に挙げた撮像素子や映像素子なんかは、製品から取り出してほかの機器に付け替えて使用する、なんてことがありえないわけで、そういうものはどんなにユニークなモノを作ろうと構わない。
でも、こうしたメディアのようなものは(かつてのビデオテープレコーダーにおけるベータ規格を挙げるまでもなく)独自規格が少数派になってしまったら、ユーザーはかなりの“悲哀”を感じることになるんですね(^_^;;
MDをやり玉に挙げましたが、あれは他社も製品展開をしていましたし、そこそこ利益に貢献したと言えるでしょう。上に挙げた失敗例はあくまでも“そこからの次への転換時期を見誤った”ということだと思います。
また、これから出る例の次世代DVD“Blu-ray Disc”も、松下電器をはじめほとんどの大手家電メーカーを仲間に引き入れ、ソニーも過去の轍を踏まなくなってきたかな、と思わせられますが。
#そういう意味では東芝がソニー化してると言えるんですけどね(^_^;;
ソニーはいま、さまざまな事業において、“聖域なき”事業の選択と集中を断行していると思いますが、こだわるべきところはできた製品がもたらす便利さ、快適さであるということを肝に銘じて、そのためにはどんな新規デバイスが必要なのか、また必要でないのか、ということを見極めていってほしいと思います。
1946年1月,ソニー創業者の井深大氏が記した「東京通信工業株式会社設立趣意書」にこうある。文中の「電気、機械等」を「カメラ」や「ビデオ」と読み替えずとも,その意は自ずと明らかだ。
「一、 極力製品ノ選択ニ努メ技術上ノ困難ハ寧ロ之ヲ歓迎、量ノ多少ニ関セズ最モ社会的ニ利用度ノ高イ高級技術製品ヲ対象トス、又単ニ電気、機械等ノ形式的分類ハサケ、其ノ両者ヲ統合セルガ如キ他社ノ追随ヲ絶対許サザル境地ニ独自ナル製品化ヲ行フ。」
まさに、その通りですね。
投稿者 Shin : 2006年02月16日 14:26
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://skys.jp/mt/mt-tb.cgi/3851
コメント
やっぱりコンパクトフラッシュ使えると良いな~。
メディアが小さいって逆に扱いづらいー。
ソニーって凄いんだけど、わが道行きすぎなんですかね。
私はその辺好きですけど、売れなきゃならないしね。
一眼レフデジカメ欲しいー!!!
NikonのD50がなんだか安くなってるんですよー。在庫整理?
それでもやっぱり高いですけどね。
光学ズームのいい感じなコンパクトデジカメ買うなら値段変わらなそうでレンズも付けられるー。悩む!!!
投稿者 samuppe : 2006年02月16日 19:35

